本の話

村田沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」/ジブリ系男子の浮きっぷり

村田沙耶香「しろいろの街の、その骨の体温の」

三島由紀夫賞を受賞した村田沙耶香さんの「しろいろの街の、その骨の体温の」を読みました。


しろいろの街
¥ 1,890

主人公の女の子・結佳が傷つきながら、自我や性に目覚めていくお話。

その欲望の対象になる男の子・伊吹がめちゃくちゃかわいい。
パズーみたいなジブリ系すこやか男子。

この子だけが作中で際立って明るく、唯一の「光」として描かれています。
少女漫画に出てくる男の子みたいに、人気者でかっこよく冴えない主人公にもなぜか好意を抱いてくれる。

それを「めちゃくちゃ都合いいな!」と思ってしまったのは、きっと他の登場人物が人間としてリアル過ぎたから。

主人公の結佳は自分の容姿にコンプレックスを持っていて、クラスでのカーストの立場を強く意識してる。

クラスメイトも上下を気にするあまりに傷つけたり傷つけられたりしていて、
作中ではそういう醜さが強調して描かれるけど、個人単位で見ればそんな悪い子じゃない。それがとても現実的だった。

それに引きかえ、伊吹はなんだ!かわいすぎるだろ!
哀しいかな、その完璧なかわいさを現実的には感じられず、「はいはい、妄想妄想」と思ってしまう。

そのへんがジブリ男子っぽいなーと。
宮崎駿は「こういう人間がいてほしい」という気持ちでナウシカやアシタカなどの完璧善人を描いているそうなので、
伊吹もそういう立場なのかもしれない。祈りや願い。

それにしては周りのキャラクターから浮きすぎて、フィクション感が強かったかも。

全体を通して、読んでいて恥ずかしい気持ちになったり、つらい気持ちになったり、
ネガティブな感情を引き起こされることが多かった。

それでもその分、わたしのあの頃も思い出されて、
初潮やはじめてのスポーツブラ、
好きな男の子をどうにかしたかったこと、嫌いなものが多かったこと、
どんどん思考が飛んでいって、地の文よりも回想がメインになってしまいました。

けれど、そういうきっかけをくれる小説は大切だなあとおもったのです。